ローカルルールを必読のこと

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酒ない支援スレ VER3

12 :酒ない ◆fMFJeA/W0Y :2019/03/17(日) 15:37:46 ID:EY9E8WKG
第3話「日本酒と謝肉祭(1)」

 カーニバル当日。

 トージは、ひさびさに自分の愛車ではなく、父の4WDの運転席に座って、リタの家を目指していた。
 トージにとってこの車は、今は亡き両親とスキーに行くときに使った車、という印象がある。実際にはそれから1回代替わりしているのだが。
 愛車を使わなかった理由は複雑ではない。賀茂篠の蔵からリタの家まで下るルートには、かろうじて車が一台通れそうな空間はあったが、木の根や大石が飛び出していて、いつものセダンではとても越えられそうになかったのだ。

 トージがリタの家の近くに4WDを止めると、エンジン音を聞きつけて、リタの家族たちが家の外に出迎えにきた。

「ピカピカの馬車だー!」

「あれ? 馬が引いてないぜ。もしかして魔法の馬車か?」

「ふたりとも、そういうことを言いふらしたらいけませんよ。いいかしら?」

「わかってるって」「は〜い!」

 わいわいと騒がしい家族の前で、4WDのドアが開き、トージが降りてくる。

「わぁ……!」

 トージの格好を見て、リタが、家族が、息を飲む。
 お祭り男であるトージの服装は、気合いが入っていた。

 足下はピカピカに磨き上げられた革靴。漆黒の燕尾服で全身を包み、そのなかからのぞく白のワイシャツと白い蝶ネクタイ。
 23歳のとき、友人の結婚式で調達し「完全に服に着られている」「20年遅い七五三」「本日の仮装大賞」と大不評、ある意味大好評だったものだ。
 本日はさらに、町内会の隠し芸で使ったシルクハットと白手袋、胸元の白いハンカチに加え、さらには真っ赤なバタフライマスクで目元を隠している。
 腰元では燕尾服の|テール《尾羽》が風にはためき、いつ月にかわってお仕置きされても恥ずかしい格好であった。

(この怪しさ、まさに突っ込み必至! やはり祭りにはヨゴレがいないとね!)

 カーニバルといえばパレード、パレードといえば仮装。
 手の込んだ衣装の準備はないが、トージは手元にある範囲で、最大限ウケの狙える格好をコーディネイトしてきたわけである。

 問題は……この世界に住むリタたちにとって、トージの服装は仮装でもネタでもなく、お城の舞踏会に出席する異国の貴族にしか見えないことであった。

「……リタ、【わかっていますね】?」

「はい、お母さん。けっして不用意に口にしたりはいたしません」

 リタたちは、トージのことを「この国に流れてきた異国の貴族が、故あって身分を隠している」と疑っていたが、たったいまそれを確信したのである。
 そしてトージの態度から、自分の身分が広く知れ渡ることを望んでいないと|忖度《そんたく》し、ごく一部の人だけに事情を知らせたうえで、あくまで貴族ではないカモスィノ家のトージ様として扱うことを取り決めていたのだった。

 無論、トージはそれを知るよしもないし、興味がないので気付くこともないであろう。彼の頭のなかは、このあとのカーニバルと日本酒のお披露目で一杯で、とても母娘の密談を気に留めるような状況ではなかった。
 トージはリタの弟ロッシの手を借りて、車に積んできた荷物を台車に積み替え、車のキーをロックする。
 リタの家族も、リタと母レルダのふたりがかりで鉄の鍋を持ってきた。動物系の香ばしい匂いが漂い、トージの胃袋を刺激する。

「おお、今日もおいしそうな匂いがするね、朝食抜きの胃袋には効くよ」

「お口に合うといいのですけど……」

 リタの表情に不安よりも照れが強く見られるのは、昨日の晩餐でトージが彼女の料理をべた褒めしたからか、それとも匙の一件か。

「トージ様、こちらは準備が整いました」

「それでは行きましょう! いざ、カーニバル!」

「いざー!」

「「いえーい!」」

 リタの妹ルーティとハイタッチし、トージは街の広場へ歩き始めた。

13 :酒ない ◆fMFJeA/W0Y :2019/03/17(日) 15:38:25 ID:EY9E8WKG

――――――――――◇――――――――――

 リタたちの家は、村の北側の外れにある。
 村の中央にある広場までは、おおむね10分ほどの道のりということだった。

「カーニバルなのに、みんなは仮装とかしないんだね」

「仮装、ですか?」

 トージの問いかけに、リタが不思議そうに返事をする。

「カーニバルといえば、仮装でサンバでジャネイロじゃないか! みんながどんな格好になるのか楽しみにしてたんだけど」

「トージさんの国ではそうなのですか? こちらではそういうことはしませんね、カーニバルって古い言葉ですけど、意味は“|謝肉祭《しゃにくさい》”ですし」

「謝肉祭……?」

「はい! 良いお肉ができたことを母なる女神に感謝するお祭りです♪」

「そ、そうなの……? じゃあ、僕のこの格好は……」

「? とってもご立派だと思いますよ?」

(……ウケてない……だ……と……!?)

 渾身のギャグを全力でスカされたトージは、失意にまみれながらわざとらしくトホホとつぶやいて、真っ赤なバタフライマスクをポケットに突っ込んだ。

「着て来ちゃったものは仕方がないか……それで、良いお肉ができた、ってことは、|屠殺《とさつ》をするわけだよね」

「はい。昨日トージさんにのしかかってしまった豚も、ドングリを食べてよく太ってきています。もうすこし食べさせたら屠殺することになると思いますよ」

「食い物があるなら、もっとデカくしてから屠殺したいんだけどなー」

 会話に入ってきたのは、リタの弟、ロッシ。
 トージよりもゲンコツひとつぶん小柄な、赤毛のクセっ毛の15歳だ。

「森でドングリが実るのも、せいぜいあと2〜3ヶ月だからな。それが過ぎると放牧しても大きくなるどころか、痩せてくばっかりなんだよ。春に生えてくる草は山羊と羊に喰わせたいしさ」

「食べ物がないならしょうがないな。でも、もっと遠くまで連れて行けば、食べ物が残ってる森もあるんじゃないの?」

 トージの視界には、もうすぐ冬だというのに一面の緑の森が広がっている。
 数日歩けば、まだまだ手つかずの森はあるように思えた。

「そうできるんならそうするんだけどな。こんどは人間のほうが参っちゃうのさ。川から離れるとろくな水もないから、水分は山羊の乳だけ。煮炊きも厳しい。乳と煎り麦だけで、丸2日とかマジで勘弁」

「へぇ、やっぱり放牧って大変なんだね」

 弟のロッシ君による実感のこもった畜産トークに圧倒されるトージ。
 動物とのつきあいといえば地元の猟友会に狩り出されるくらいで、畜産についての知識はほとんどない彼であった。

「はい、おしゃべりはここまでにしましょう。つきましたよ」

 リタの母、レルダがそう言って足を止める。そこは村の広場だった。
 即席のかまどが広場の中央にいくつも造られ、そのうち何個かには、すでに鍋が据え付けられている。リタとレルダは、そのうちひとつのかまどに、持ってきた鍋をセットした。

「トージ様の料理は、あとから火を入れたりはしないのですよね。それなら、先に村長にご挨拶に向かいましょう」

――――――――――◇――――――――――

 しばらく後。トージとレルダは、リタたち姉弟が待つ広場に戻ってきた。

「トージさん、村長さんはどうでした?」

「うん、謝肉祭への参加も、料理と飲み物を出すことも、すんなり許していただいたよ。もっと余所者には厳しいと想像してたんだけどな」

「……トージ様のことは、昨日のうちに、村長にお話ししておきましたので」

「そうだったんですか、そいつは助かりました」

 さきほどトージが面会してきた村長は、見た感じ40代中盤の壮年男性だった。茶色の短髪でがっしりとした体格、顔は角張ったしかめっ面。しかも表情がほとんど動かないのである。
 最大の特徴は眉毛だった。トージの地元なら「ゲジゲジ眉毛」と呼ぶような極太の眉毛が、話題が変わるたびにピクピクとよく動くのである。リタなどは「村長さんの考えていることは、顔よりも眉毛を見たほうがよくわかります」などと言っていたほどだ。

14 :酒ない ◆fMFJeA/W0Y :2019/03/17(日) 15:38:44 ID:EY9E8WKG
 ともあれ、晴れて謝肉祭への参加を許されたトージは、料理を乗せたお盆を台に据え、リタとともに村長の近くに座って謝肉祭の開演を待っているのだ。
 しばらくすると、一段高い台の上に、さきほどのマユゲ村長があらわれた。

「皆、聞いてくれ。今年も母なる女神の恵みにより、家畜の肉を糧とすることができ、嬉しく思っている」

 村長の顔はあいかわらずのしかめっ面だが、垂れ下がったマユゲが内心の喜びをあらわしているように見える。

「今年の謝肉祭には、村の外から二組の客人を招いている。ひとりは皆もおなじみ、商人のオラシオ。もうひとりは異国より、トージ・デ・カモス……ウォッホン、トージ殿だ。皆、ふたりとも食べ物を分け合ってもらいたい」

(うーん、招かれざる余所者に殿付けとは、なんと心の広い村長さんだ)

 村長が、自分を貴族名で呼びそうになっていたことに、もちろんトージは気づかない。この男、酒造りと祭りと社交以外のことには、脳味噌のリソースをほとんど割いていないのである。

 トージから村長を挟んで反対側の席では、くすんだ金髪の若い男が、退屈そうな表情で頬を突いている。

「なんだい、あいつ? せっかくの祭りなのに、不景気な顔で」

「行商人のオラシオさんです。あの方、いつもあんな感じですから……きっと、お仕事が楽しくないんじゃないでしょうか」

「ふーん。祭りを楽しむ気がないなら、引っ込んでればいいのに」

 そうやってトージとリタがひそひそ話をしているあいだに、村長のスピーチも終わりを迎えたようだった。

「それでは今年の|謝肉祭《カーニバル》をはじめよう。豚を前へ!」

 村長がそう声を張り上げると、さきほどトージが挨拶に行った村長宅から、まるごと吊し焼きにされた巨大な豚が運び込まれてきた。
 丸々と太った豚の皮はこんがりとあぶられ、肉の脂とハーブが混ざった香ばしい匂いが漂ってくる。

(くっ、しまった! これはあきらかに冷えたビールが合う匂い! 日本酒にかまけて、そこまで頭が回ってなかった!)

「……どうしたんですか、トージさん?」

 頭をかかえてひとり後悔するトージを尻目に、村長のスピーチは続く。

「今年も森の恵みは豊かなようだ。豚もよく育つだろう。さあ皆、一切れ食べたら、あとは好きなように楽しんでくれ!」

 ウワァァァ! と、村人の歓声があがり、皆が豚の丸焼きに群がり始めた。

「さあ、トージさん、私たちもいただきましょう!」

 リタの細い手に引かれて、トージは丸焼きの豚に向かう。村長の奥さんと娘さんが切り分けて渡している豚肉は、肉汁があふれていかにも旨そうだ。
 切り分けられたのはロース肉。トージにとっても、とんかつやショウガ焼きでおなじみの部位だが……口に運んでかみしめると、あまりの味の違いにトージは目を剥いた。この豚は旨すぎる!

「さすがは村長さんの育てた豚です、本当に美味しいですね♪」

 リタも満面の笑みをうかべてロース肉を味わっている。
 この豚と、トージが日本で食べてきた豚の何が違うのか。それは脂である。
 通常の豚肉は、筋肉は筋肉、脂身は脂身と、両者がくっきりと分かれている。だがこの豚肉は、筋肉の部分からも脂のうま味を感じるのだ。

「ドングリのおかげですよ、トージさん。私たちは9月くらいから豚を森に入れて、ドングリを食べさせるんですよ。すると豚たちがどんどん太って、脂身が筋肉のなかまで入り込んでいくんです」

「ああ、さっき村長さんが言ってた“森の恵み”ってやつだね」

「ええ。生肉を切ってみるとよくわかりますよ、脂が網の目みたいに、赤身のなかに食い込んでいるんです」

「なるほどね、豚肉なのに霜降りなのか」

 トージは食べたことがないが、これは現実世界のスペインの特産品「イベリコ豚」にも見られる特徴である。体内に良質の脂肪分を蓄えたイベリコ豚は、現地では「足の生えたオリーブの木」などと呼ばれることもあるという。

「さあトージさん、ほかの料理もいただきにいきましょう!」

15 :酒ない ◆fMFJeA/W0Y :2019/03/17(日) 15:39:01 ID:EY9E8WKG

――――――――――◇――――――――――

 トージはリタに連れられ、鍋の番をしている村人たちと挨拶をしながら、山盛りの料理をすこしずつ頂戴していく。

 村人たちは村の仲間とワイワイ話しているが、トージに声を掛けられると目を丸くして驚き、とたんに低姿勢になってしまう。
 それもそのはず。トージが着ているのは、漆のようにつややかな黒で染められたカシミヤを、現代日本の技術で織りあげた燕尾服。
 近世の絵画に出てくるような、くすんだ色の農夫服の村人たちに混ざると、あきらかに場違いなのである。

「トージ様……トージ様は、お貴族様なんで?」

 勇気ある村人のひとりが、誰も口にできなかったことを問いかけた。
 その瞬間、リタはトージの目がキラーンと光ったように感じた。

「ははは! ばれてしまってはしかたがない! ルネッサーンス!!」
「ひぃ!」
「トージさん!?」

 トージが芝居がかった仕草で腕を振り上げる。
 突然振り上げられたトージの腕に叩かれると思ったのか、村人はおびえ、リタが驚きの声をあげる。
 服装に対するツッコミに飢えていたトージは、渾身のリアクションを繰り出したのだが……最初から「このトージという人は貴族ではないか」と疑っている村人たちにとっては、まったく洒落にも笑い事にもなっていなかった。

(えっ、どういうリアクション!?)

「トージさん、村の皆さんが怖がってますから……」

「ええ、あぁ、ごめんなさい……」

 場を冷えさせてしまって|凹《へこ》んでいるトージを横に、リタは必死で「トージは貴族ではないし、怖がる必要はない」とフォローに奔走していた。

――――――――――◇――――――――――

 結論から言うと、村の料理は旨かった。

 この村の料理の特徴は、とにかく赤いことだ。色の発生源はトマトである。
 ドライトマトを水で戻した汁をベースにしたスープ料理や、トマトと内臓肉の脂煮込み、チリビーンズのような大豆料理、トマトの戻し汁を麦の粉に吸わせ、そぼろ状にまとめてから炊きあげた料理などは、トージにも旨く感じられた。
 逆に、肉野菜とヒヨコ豆の合わせ煮などは、塩味が前に出すぎてうま味が少なく感じられる。

(コンソメ1キューブと、コショウ一振りでずいぶん変わりそうだけどな)

 村人たちに人気だったのはパスタ料理だ。
 リタの弟、ロッシが「うっはー! 小麦のパスタだよ!」と大喜びで、ドライトマトとソーセージのペペロンチーノをつるつると平らげている。

(そういえば、小麦の料理が少ないな。だいたいライ麦か大麦か豆ばっかりだ。もしかして小麦は贅沢品なのかな?)

 そんなことを考えながら、トージはレルダの守るかまどに戻ってきた。

「おかえりなさい、トージ“さん”。村の料理はいかがでしたか? よければリタのスープも召し上がってください」

「トージおにーちゃん! きょうのはもーっとおいしいよ!」

 リタの家の鍋の前では、レルダとルーティの母子が出迎えてくれた。
「人目があるところで様付けは勘弁してください」というトージの要請に応えて“さん付け”でトージを呼ぶレルダから器を受け取ると、中身は一見、昨日のミルク粥と同じように見える。
 だがスープを口に運ぶと、昨日のミルク粥よりもさらに濃厚なうま味が、トージの舌にガツンと襲いかかった。リタがさっそく解説を加える。

「今日は謝肉祭なので、昨日の夜から豚の骨を炊いたんです。匂いが苦手な方もいるそうなんですが……いかがですか?」

 つまりこれは「豚骨ミルクスープ」ということになるのだろう。
 無論、大学在学中、2回まで替玉無料の豚骨ラーメン店に通っていたトージにとって、豚骨スープは好物のひとつだ。
 リタに返事をすることも忘れ、昨日の粥よりも大きくゴロゴロとしたサイズにカットされたベーコンと、各種の野菜を口に運ぶ。そして麦粒のかわりに入っている麦団子は、白玉くらいの大きさで、もちもちとした食感が楽しい。

「あの……トージさん、いかがですか?」

「はっ、ごめん、夢中になってたよ。これはちょっとヤバいね、旨い。いますぐにでも東京で店を開けそうだ」

「……トーキョー?」

「まだ半分しか回ってないけど、この豚骨麦団子スープか、村長さんの豚の丸焼きか……このふたつが飛び抜けておいしかった。甲乙付けがたいよ」

「だよねーっ! にししー!」

「そんな、ほめすぎですよ……」

16 :酒ない ◆fMFJeA/W0Y :2019/03/17(日) 15:39:18 ID:EY9E8WKG


 姉の料理がほめられて嬉しいルーティが、トージの左足に抱きついてくる。
 リタは白い頬を紅に染めて恥ずかしがるが、実に嬉しそうな表情だった。

「娘の料理をそんなにも誉めていただいて嬉しいですよ。できましたら、トージ“さん”の料理も頂戴してよいですか?」

「……あ! いっけね!」

 右の手のひらで、ぺちーんと自分の側頭部を叩くトージ。
 謝肉祭の開始と同時に豚の丸焼きを食べに行ったため、トージは自分が用意してきた料理にカバーをかけたままだったのである。

「いやーすっかり忘れてた、用意してきたのはこれね」

 トージはそう言って、お盆の上にかぶせてあった風呂敷を取り払う。
 そこに乗せられていたのは、100個あまりの「おにぎり」であった。
 海苔も巻かれていない真っ白なにぎり飯が、3つの山に分けられ……
 3つの山には「梅干」「鮭」「海苔」の文字が書かれた紙が添えられている。

「……トージさん、こりゃなんだ?」

「ふっふっふ、見てのとおり“おにぎり”さ。
 ただのおにぎりとあなどるなかれ。まあ、とにかく食べてみてよ」

 トージはそう言って、巨大なお盆をリタに差し出した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【注釈1】
 本作に登場する「|謝肉祭《カーニバル》」は、現実世界の地球とは意味合いの違うものとなっています。
 地球の謝肉祭はキリスト教の祭りで、2月〜3月ごろに行われます。宗教的な意味合いを抜いて要約すると、肉を食べることを禁じる期間に入る前に、めいっぱい肉を食べて騒ぐお祭りです。
 この世界の謝肉祭は、12月中旬に行われます。豚の畜養を終え、屠殺する期間に行う祭りで、穀物ではなく豚を基準に据えた収穫祭に近いものです。

【注釈2】
 この世界の植生は、中世地球のヨーロッパとは大きく異なります。トマトがすでに一般的で、大豆や唐辛子もあります。
 村の料理に出てこなかった作物の状況については、今後の投下を楽しみにお待ちください。

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