董卓の娘相談スレ

7 ：名無しさん：2021/02/07(日) 12:22:27 ID:lwLall0M0

>>3
●つづき

　あの日以来、お父様の部下、李隊長の目線が厳しいです。
　リーさんは校尉という役職で、戦争になれば何百人の兵隊を率いる隊長さんです。
　いまもめっちゃ睨んでるし……
　軍人さんだけあって、とにかく迫力があるんですよねえ。

「李よ。貴様気にしすぎだ。
　太守様の娘に、狐など憑いているわけがなかろう」

　そういってかばってくれるのは、李さんと同じく校尉の郭隊長。
　がんばってカクさん！　弁護して！！

「何を言うか。親の名を見て卒倒するなど、子としてあるまじきことと思わんか？
　それに神のごとき武勇を誇る主公の名を見て恐れるのは、狐狸の霊がついているに違いなし」

　そう。どうやら私、悪霊が憑いていると疑われているようなんです。
　やだなあ、悪霊なんてついていませんよ。
　ちょっと21世紀の記憶があるだけで……
　それこそ悪霊？　こまった、反論できない。

　お父様の名前が「董卓」だと知ったあの日、私の脳裏には、生まれ変わる前に読んでいたマンガのページがよみがえっていました。
　三国志の序盤、董卓一族の殺戮シーン。あまりにグロすぎてすぐにページを閉じたのですけど、記憶には鮮明に残っていたんですねえ。この無駄な記憶力がうらめしい……
　ともあれ突然脳内に飛び込んできたグロ画像の衝撃に、肉体年齢7歳にすぎない私は卒倒してしまったわけなんです。お父様の名前を読もうとしたタイミングで。
　なんと間の悪い。まあ間が悪いのは前世から変わってないですけどね……
　というか私、董卓の娘なのですけど、あれをされるの……！？
　たしか一人残らず殺されるんだよね！？
　
「バカバカしい、お嬢様は皇后になるお方だぞ。
　で、その巫覡のところにつれていけば、霊がついてるかどうかわかるんだな？？」

「さよう、霊験あらたかで高名なお方でな。俺もよく相談に乗ってもらっている。
　きっと童女に字を読ませるような霊などすぐに祓ってくださる。」

　というわけで、私はリーさんとカクさんに護衛されて、馬車で巫女さんのところに送られる真っ最中というわけなんです。
　きっついなあ……字が読めただけで除霊に送られるなんて。
　こうなるとわかってたら得意になって字を読んだりしなかったのに……

　えっと、申し遅れました。私の名前は董青。字を木鈴。
　姓とか名とか字とか名前がたくさんあって分かりづらいので董青でいいです。
　さきほどもお話ししたとおり、私、前世の記憶ってやつがあるようです。
　おかげさまで気がついたら文字が読めてました。
　私が知ってる字体とはだいぶ違うんですけど、もう慣れましたね。
　ただ、漢の時代って数千年前ですよね？
　時間が逆行する生まれ変わりってあるんでしょうか。なんか変な気分です。

　ただ正直言って、私は三国志にはくわしくありません。
　マンガやゲームですこし触れたくらいです。
　ただ、董卓の娘ということは……
　いずれ一族皆殺しに巻き込まれて、死ぬ運命ってことですよね。
　何とかしたいんですが……
　か弱い幼女になにができようというのでしょう。

　ところで、お父様のイメージ、なんだか違いません？
　マンガの董卓って、もっとなんか、バイオレンスでタイラントな感じでしたよね？
　お父様、私にも部下のみなさんにもめっちゃ優しいんですけど……？
　……あ、そうか。これ、私の知ってる三国志じゃないんだ。きっと。
　あのお父様なら、曹操劉備孫堅連合の討伐軍くらって呂布に裏切られて死んだりしないと思いたい。
　そうですよね！
　……お願いします！！！